二代目。

本家松永製作所の二代目。
私が尊敬する父。


二月の下旬、目の調子が悪くなり無理やり病院へ。
脳梗塞でした。
しかもすでに数日たってしまっていました。
視野はかなり狭く、視力もほとんどない状態でした。
落ち込みや恐怖は想像もできないくらい大きかったと思います。


79歳の父にとって急に見えなくなったことは、とても残酷なことでした。
運転も出ない、新聞やテレビも見られない、大好きな仕事もできない。
目の前の自分の箸やご飯茶碗さえわからないもどかしさ。
日常が消えました。


だんだんと一日中布団に入って過ごすことが多くなりました。
それでも何かしたくて「よーし、仕事するぞっ!」と工場に何度か来てはダメで落ち込んで帰りました。
どうにか助けてあげたいけれど何もできないまま。


四月中旬、一人で外に出てしまい警察に保護されました。
迎えに行くと「大丈夫です。大丈夫です。」の繰り返し。
様子がおかしいと私が警察の方に伝えると救急車を呼んでくれました。
救急の方が何度か断られながらも一生懸命に搬送先を見つけてくれ、不安でいっぱいの私に温かい声もかけてくれました。


二度目の脳梗塞でした。
今回は入院となりました。
私達家族は父が入院できて先生や看護師さん達がいつも見守ってくれて安心しました。
でも目の見えない父にとっては家以外の場所はかなりの恐怖や不安だったようです。
十日の入院後は家に帰ってきましたが、認知症(血管性認知症)やせん妄がひどく進んでしまいました。


あれだけ頑張って生きてきた父。
とても悔しいです。
悲しいです。


今までお世話になったお客様ありがとうございました。
取引先の方々ありがとうございました。
迷わず救急車を呼んでくれた安中警察署の方々ありがとうございました。
救急搬送してくれた安中消防署郷原分署の方々ありがとうございました。
治療して頂いた病院の方々ありがとうございました。


父には老後は穏やかにのんびりと過ごしてもらいたかったです(もちろん母にも)。
いつまで家でみれるのかわかりませんが、まだ父も母も家にいます。
私の気が済むまでみようと思います(毎日「まだ大丈夫みれる」「もう限界」の繰り返しですが)。


これからも鍛冶屋・本家松永製作所は続いていきます。
父に恥じないように負けないようにより一層頑張っていきますので今後ともよろしくお願いいたします。